意匠登録にかかる期間、費用、手続の流れについて
こんにちは。兵庫県 西宮市の弁理士・倉橋です。
先日は「意匠の説明」や「意匠登録の要件」について大まかに説明させていただきました。続きとなる今回は、「意匠登録のかかる期間」や「費用」「手続の流れ」などについて簡単に解説したいと思います。
目次
意匠登録の流れ(審査の流れ)
意匠登録の出願を行った場合には、
❶ 方式審査
(書類に方式的な不備がないか否かを審査)
❷ 審査官による実体審査
(出願意匠に登録できない理由が無いか否かを審査)
が行われ、方式審査と実体審査を通過した場合(登録できない理由が無かった場合)に登録可能な旨の通知がなされ、
所定の期間内に、登録料を納付することで意匠登録されます。
【参考】
・意匠の場合は、出願したら自動的に審査が行われるという点で、特許出願とは異なっています。
・一次審査結果、登録可能だった場合には「登録査定(登録可能な旨の通知)」がきます。
逆に、登録できない理由が見つかった場合には、「拒絶理由通知(登録できない理由を記載した通知)」がきます。
・そして、意匠の登録日から大体3~4週間後に公報が発行され、出願内容が一般公開されます。
意匠登録にかかる期間は?
意匠登録にかかる期間(権利化までの平均期間)は、6~8ヵ月と言われてます(特許庁公表)。
具体的には、
出願日から一次審査結果の通知(審査結果の最初の通知)まで期間は 5~7か月とされており、登録可能の通知を受けてから登録料を納付することで意匠登録されます。
なお、早期審査の対象である場合は、早期審査の申出を行ってから一次審査結果の通知までの期間は、3ヵ月以内とされています。
上記はあくまでも平均期間です。審判などにまで手続が及んだ場合には、登録までの期間はさらにかかります。
意匠登録にかかる費用は?
出願手続にかかる費用(2024年6月現在)
意匠登録の出願には、特許庁に納付する出願料(印紙代)16,000円 が必要です。
但し、弁理士事務所に出願依頼した場合は、これに加えて弁理士事務所の手数料(書類作成や出願の手数料など)がかかります。
・当事務所では、出願時には手数料として 80,000円(税抜)を頂いております。
・手数料には、「出願に必要な打ち合わせ」「簡易調査」「書類作成」「図面作成」「出願代行」などの費用が含まれます。
なお、意匠出願では図面または写真が必要であり、多少の慣れていないと不備が生じる場合があります。詳しくはコチラのサイトにまとめられていますので、ご確認ください。
参考:「 特許庁 初めてだったらここを読む~意匠出願のいろは~ 」
・なお、意匠出願に慣れた弁理士(専門家)に依頼することで、何事もなく登録される可能性が高まります(拒絶理由が来る確率を下げることができます)。
・なお、郵送で意匠出願を行う場合には、出願料分の特許印紙を願書に貼り付ける必要があります。特許印紙は、集配郵便局や発明推進協会、特許庁で購入が可能です。
・秘密意匠を請求する場合には、別途5,100円が必要になります。「秘密意匠」制度については、別の記事で簡単に解説していますので、よろしければご確認ください。
参考:「 意匠法特有の制度について解説②・[秘密意匠、組物の意匠] 」
中間対応手続にかかる費用(2024年6月現在)
拒絶理由通知を受け取った場合、軽微なミスであれば、
所定の期間内に、中間応答手続(手続補正書や意見書などを提出)を行うことで、登録される可能性があります。
なお、中間応答の際の費用(特許庁に支払う費用)は無料です。
なお、中間応答手続を弁理士事務所が行う場合は、弁理士事務所の手数料がかかります。
・当事務所では、拒絶理由の内容(難易度)に応じて、10,000円~70,000円(税抜)ほどの手数料を頂いております。
・手数料には、「拒絶理由の検討」「必要な打ち合わせ」「書類作成」「手続代行」などの費用が含まれます。
なお、拒絶理由(難易度)によっては、手続に慣れた弁理士(専門家)に依頼した方が良い場合がございます。
なお、手続が審判にまで至った場合は、より高額な費用が必要になります。
登録手続にかかる費用(2024年6月現在)
審査を通過した場合には、所定の期間内に、登録料 25,500円(1~3年までの登録料)を納付する必要があります。
登録料 25,500円 = 8,500円(1年当たり)× 3年分
登録料を納付することで、意匠登録されます。なお、弁理士事務所に出願依頼した場合は、登録時に別途 手数料がかかります。
・当事務所では、登録時に、60,000円(税抜)ほど手数料を頂いております。
・手数料には、「登録査定の連絡」「登録料納付の確認」「登録料納付の書類作成・手続代行」「成功謝金」「維持管理手数料」などの費用が含まれます。
いかがでしたでしょうか?
なお、意匠登録できるのは、基本的には、公開前の一回だけとなります。
つまり、公開された後になると意匠登録はできなくなるため、意匠登録できるのは最初で最後の機会となります。書類に不備があると後で取り返しがつかなくなる場合もあるため、ご自身で意匠登録の手続をされる場合には、十分ご注意ください。
もし、ご自身で意匠出願するのが面倒な場合や、不安な場合、意匠登録についてご質問などがある場合には、弁理士に依頼することをオススメいたします。