特許審査の流れ、特許出願(申請)から登録までの期間、審査にかかる期間、費用などを解説

兵庫県西宮市にある「倉橋特許商標事務所」の代表で、《商標・特許を専門とする弁理士》の倉橋和之と申します。

当ブログでは、世間一般にあまり聞き慣れないと言われる知的財産に関する知識・情報や、私の活動や考えなどを発信しています。

 

 

今回は、
特許の審査の流れ」
「特許出願(申請)から登録までの期間」
「特許権が発生するまで(特許の登録まで)の期間」
「特許権は発生するまでにかかる費用」など

について簡単に解説したいと思います。

 

特許の審査の流れ

《「特許庁 初めてだったらここを読む~特許出願のいろは~」から抜粋》

 

特許出願を行った場合には、その1年6ヵ月後に出願内容が出願公開されます。
なお、特許出願から
3年間、出願審査請求の手続期間が設けられいます。この期間出願審査請求がされた場合のみ審査(方式審査+実体審査)に移行します。

(※ 出願審査請求が行われなかった特許出願は審査されず、取下げたものとみなされます)

 

 

特許出願の後、審査請求の手続を行った場合には、

❶ 方式審査
 (書類に方式的な不備がないか否かを審査)


❷ 審査官による実体審査
 (特許出願した内容に登録できない理由が無いか否かを審査)

 

が行われ、方式審査と実体審査を通過した場合(登録できない理由が無かった場合)に登録可能な旨の通知がなされ、
所定の期間内に、登録料を納付することで登録原簿に登録され、晴れて特許権が発生します。

 

 

【参考】

・特許の場合、審査請求しない限り審査は行われません。この点で、商標制度や意匠制度とは異なっています。

 

一次審査結果、登録可能だった場合には「登録査定(登録可能な旨の通知)」がきます。
 逆に、登録できない理由が見つかった場合には、「拒絶理由通知(登録できない理由を記載した通知)」がきます。

 

そして、登録原簿への登録日から大体3~4週間後に公報が発行され、登録された内容が一般公開されます。

 

 

特許の登録(特許権の発生)までにかかる期間は?

審査請求の手続を行ってから一次審査結果の通知(審査結果の最初の通知)まで期間は 9~11か月とされており、審査請求の手続を行ってから権利化までの平均期間は 14~16ヶ月と言われています(特許庁公表)。

 

 

但し、上述したように特許出願の場合には、3年間、出願審査請求の手続期間が設けられています。ですので、上記の期間はいずれも出願審査請求の手続を行った後から起算しています。

 

 

・特許庁では、発明の技術分野ごとに各審査部に振り分けているため、ホットな分野(出願件数の多い分野)の場合は、審査待ちの時間がどうしても長くなってしまう傾向があるようです。

 

・なお、特許出願では、一定要件下において「早期審査請求」などの手続きを行うことにより、通常よりも早く審査を行う制度があります。これによっても手続き期間は変化します。

 例えば、早期審査の対象案件となった場合には、その申出がなされてから一次審査結果の通知までは平均で 3ヵ月です。 さらにスーパー早期審査の対象となった場合には、その申出がなされてから一次審査結果の通知までは平均で 1ヶ月となっています。

 

・上記はあくまでも平均期間です。何度も拒絶理由が来た場合や、審判などにまで手続が及んだ場合には、登録までの期間はさらにかかっていきます。

 

 

特許出願から登録までにかかる費用は?

出願手続にかかる費用(2024年6月現在)

特許出願には、特許庁に納付する出願料(印紙代)14,000円 が必要です。

 

但し、弁理士事務所に出願依頼した場合は、これに加えて弁理士事務所の手数料(書類作成や出願の手数料など)がかかります。

 

・なお、特許庁に納付する出願審査請求の費用は、減免制度が受けられる場合がございます。ご自身が該当するか否かは、以下のサイト「特許庁 特許料等の減免制度」をご確認ください。

 

・当事務所では、出願時には手数料として 150,000円~500,000(税抜)と幅広い料金設定となっています。

 

・手数料には、「出願に必要な打ち合わせ」「先行文献調査」「書類作成にあたっての各種検討」「書類作成」「図面作成」「出願代行」などの費用が含まれます。

 なお、特許出願では実施例(実施形態)という発明品のバリエーションを記載しておくことで、権利範囲を広くすることが通常です。発明品の説明の流れや、説明しやすい図面の作成などは、多少の慣れが必要となります。

 

・特許出願に慣れた弁理士(専門家)に依頼することで、より広い権利範囲の特許権を取得できる可能性が高まります。拒絶理由の通知を受け取りたくない場合には、事前にお伝えいただけると、拒絶理由通知がきにくい書類を作成することも可能です(絶対に拒絶理由が来ないと断言することはできません)。

 

 

なお、郵送で特許出願を行う場合には、出願料分の特許印紙を願書に貼り付ける必要があります。特許印紙は、集配郵便局や発明推進協会、特許庁で購入が可能です。

 

 

出願審査請求の手続にかかる費用(2024年6月現在)

特許の出願審査請求の手続にかかる費用は、次のとおりです。

 ・138,000円+(請求項の数 × 4,000円)

 

 

この式からも分かるように、出願審査請求には少なくとも15万円以上の費用がかかりますし、請求項の数が多いほど費用は高くなります。

 

 

中間対応手続にかかる費用(2024年6月現在)

拒絶理由通知を受け取った場合、軽微なミスであれば、
所定の期間内に、中間応答手続(手続補正書や意見書などを提出)を行うことで、登録される可能性があります。

 

なお、中間応答の際の費用(特許庁に支払う費用)は無料です。

 

 

なお、中間応答手続を弁理士事務所が行う場合は、弁理士事務所の手数料がかかります。

・当事務所では、拒絶理由の内容(難易度)に応じて、10,000円~140,000円(税抜)ほどの手数料を頂いております。

 

・手数料には、「拒絶理由の検討」「必要な打ち合わせ」「書類作成」「手続代行」などの費用が含まれます。

 


 なお、拒絶理由(難易度)によっては、手続に慣れた弁理士(専門家)に依頼した方が良い場合がございます。

なお、手続が審判にまで至った場合は、より高額な費用が必要になります。

 

 

登録手続の費用(2024年6月現在)

審査を通過した場合には特許査定され、所定の期間内に、登録料(1~3年までの登録料)を特許庁に納付する必要があります。

 登録料 = { 2,100円+(請求項の数×200円)}× 3年分

 

 

特許庁に登録料を納付することで、登録原簿に登録され、特許権が発生します。なお、弁理士事務所に出願依頼した場合には、登録時に別途 手数料がかかります。

 

・なお、特許庁に納付する登録料は、減免制度が受けられる場合がございます。ご自身が該当するか否かは、以下のサイト「特許庁 特許料等の減免制度」をご確認ください。

 

・当事務所では、登録時に、110,000円(税抜)ほど手数料を頂いております。

 

手数料には、「登録査定の連絡」「登録料納付の確認」「登録料納付の書類作成・手続代行」「成功謝金」「維持管理手数料」などの費用が含まれます。

 

なお、登録料は初年度が最も安く、4年目以降はどんどん高くなっていきます。

 

・4年目~6年目 : 毎年{ 6,400円 +(請求項の数×500円)}


・7年目~9年目 : 毎年{ 19,300円 +(請求項の数×1,500円)}


・10年目~20
年目: 毎年{ 55,400円 +(請求項の数×4,300円)}

 

 

 

いかがでしたでしょうか?

特許権を取得できるのは、基本的には、公開前の一回だけとなります。
公開された後になると特許の登録ができなくなるため、特許出願できるのは最初で最後の機会となります。書類に不備があると後で取り返しがつかなくなる場合もあるため、ご自身で特許出願などの手続をされる場合には、十分ご注意ください。

 

 

特許制度は複雑ですし、特許出願の明細書の記載も抽象的で難解だといわれてます。

もし、ご自身で特許出願するのが面倒な場合や、不安な場合、特許出願の書類作成などについてご質問などがある場合には、信頼できる弁理士に依頼することをオススメいたします

文章や図面などで適切に表現できれば、特許権の権利範囲はかなり広くカバーすることができます。

一方、表現方法によっては権利範囲がとても小さくなってしまいます。特許を取得したけどあまり意味のない権利になってしまったということがないよう、この点についてご留意ください。

 

 

当事務所では、「開発した製品・アイデアが、特許取得できそうか知りたい」「自社の製品が他人の特許権の侵害になっていないか調査してほしい」「他人の模倣品の販売を止めたい」「外国でも特許出願したい」「苦労して生み出した製品・技術をどのように保護すべきか知りたい」といったご相談も承りますので、お一人で悩まれず、お気軽にご連絡ください。

 

当事務所では、商標や特許、意匠の出願手続のほか、
スタートアップや中小事業者の知財トラブルを未然に防ぐ「知財の相談窓口」として、ブランディングや(商品開発段階・商品販売後の)権利侵害などの相談も承っています。

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