【知財ニュース】ピアノシューズの特許権侵害で逮捕者がでた件【無許可販売】

こんにちは、兵庫県 西宮市の弁理士・倉橋です。

 

先日(3月5日)、特許取得のピアノシューズを無許可販売した容疑で、容疑者が逮捕されたというニュースが飛び込んできました。実はこのニュース、知的財産業界が注目した事件となりました。

今回はこちらのニュースについての紹介と、何が知的財産業界で注目されたのかについて所見などを交えて解説していきたいと思います。

 

参考:「YAHOO!JAPANニュース ピアノシューズを無許可販売 特許法違反容疑で男逮捕 茨木県警竜ケ崎署

事件(ピアノシューズの特許権侵害事件)の概要

この事件を大まかに説明すると、以下のとおりです。

・茨木県竜ケ崎市の女性Aが特許取得した特殊なピアノシューズ(ヒールを工夫してピアノペダルを踏みやすくしたシューズ)を、兵庫県神戸市の男性Bに製造を委託していた。

・販売の委託は受けてなかったが、
 男性Bは無断で、製造したピアノシューズ 8足を仲介業者(フリマアプリ)を通じて、定価の半額ほどで販売していた。

 

なお、フリマアプリの履歴から100足以上販売されていた可能性があるとして、捜査が続けられているとのこと。

なお、侵害されたとみられる特許発明は、特許第5470498号と思われます。

 

今回の事件がなぜ注目されたのか?

特許法では、特許権を侵害した者に対して、以下のような刑事罰が科されることになっています(特許法196条)。

❶ 10年以下の懲役
❷ 1,000万以下の罰金
❸ 上記の両方(併科)

 

なお、これらの刑事罰の適用には「故意であること」という要件も加えられています。

しかし、実際には、特許権侵害で逮捕者がでるケースはかなり少なく(商標法違反や不正競争防止法違反では逮捕者はでていますが、特許権侵害では本当に少ない)、記事によると茨木県で、今回のように特許権侵害で逮捕者がでたのは 1989年以降初めてとのこと。

 

このように大変珍しいケースでもあり、業界が注目するニュースとなりました。

 

 

容疑者の逮捕にまで至った理由とは?

今回の事件(ピアノシューズの特許権侵害事件)では、
特許権者である女性Aから製造委託を受けていた業者(男性B)が、無許可に販売していたという事実があり、「特許権侵害の事実」「故意である」ことが明らかだったことから、逮捕に至ったと考えられます。

 

なお、真偽は不明ですが、
今回の事件で 男性Bが販売していたのは、不良在庫(求める品質に至らず納品できず廃棄しなければならない不良品)だったという話もありました。

 

製造委託を受けていた製品の不良品などを権利者の許可なく販売すると、権利侵害となりますので絶対に行わないでください。

 

【続報】
水戸地検土浦支部は4月2日までに、特許法違反の疑いで逮捕された男性を不起訴にしたという続報ニュースが入りました。

なお、不起訴の理由はあきらかにされていません。

 

 

当所ではこれからも気になったニュースなどを紹介していきます。

ご不明な点や、知的財産に関するご相談などございましたら、当所にお問合せ(お問合せフォーム)ください。

それでは!

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