【2024年6・7月】気になったニュースを紹介&解説6
こんにちは、兵庫県 西宮市の弁理士・倉橋です。
今回は少し趣きを変えて、2024年6月下旬~7月までのニュースで気になった記事をピックアップして、解説したいと思います。
目次
東北大発ベンチャーが、世界初の歯周病の治療器を販売
歯周病の治療器を東北大発のベンチャー企業が17年かけて開発し、昨年世界で初めて歯周病の医療機器として承認されたとのこと。
これまでの歯周病の外科治療というと歯茎切開や骨再生など大掛かりな手術が必要ですが、この治療器では超音波振動させながらレーザー照射を行うことで、歯周病の原因菌を死滅させる仕組みです。
患者の負担も少なくなって良いですね。
歯周病が進行すると歯が抜け落ちるだけでなく、菌が血流に乗って全身に回ることで様々な部位で炎症を起こしますし、心疾患や糖尿病などの原因にもなります。さらに、歯周病は口臭の原因にもなっているので治療・予防しないという選択肢はありませんね。
口臭予防・健康維持のために、歯周病の治療器ができたというのは朗報です。
近所の歯科クリニックでも、可能なら早めに導入してほしいと思った機器です♪
参考記事:「テレ朝NEWS 世界初「歯周病」の治療器販売へ 東北大発のベンチャー企業が約17年かけ開発」
エビに食べられたヒラメが美味しい! 発想の転換による価値創造
相馬双葉漁協が、ヨコエビの食害によって出荷していなかったヒラメを市場に流通させるため、協議を進めているとのことです。
参考記事:「gooニュース 『漁師町のヒラメ』市場に 相双漁協、エビが食べ...自然な血抜き」
ヨコエビによる食害を受けたヒラメは、見た目が悪くなってしまうことから廃棄されており、これまで出荷されてはいませんでした。
しかし、実は海中で自然と血抜きされることから臭みがなく美味しいと漁師の間では密かな人気があったとのこと。現在、相馬市では協議を進めており、承認が得られれば販売される見込みのようです。
未利用魚の年間の廃棄量は非常に多く、問題となっています。
今回のニュースのように、発想を転換することで未利用魚を市場に流通させることができれば、廃棄量を削減できるだけでなく、その地域の人々の収入増が見込まれます。
もちろん、そこに至るまでの粘り強い営業活動、宣伝・広報による販路確保・拡大がとても重要なのはいうまでもありませんが、
別の地域では、未利用魚をミールパックにしてサブスク販売するサービスもすでに生まれており、今後もこの市場は拡大していくことが予想されます。
これまで市場に出回らなかった収穫物に新たな価値を見出して世に販売するという手法は、
漁業に限らず、育成・栽培・収穫などを行う様々な分野でも起こっていくのではないでしょうか。
新たなサービスの誕生を楽しみに待ちたいと思います♪
減塩をサポートするエレキソルトスプーン、販売開始!
先月(2024年5月)、キリンホールディングスが、微弱な電気信号によって塩味やうま味を増強する「エレキソルトスプーン」の販売を開始しました。
参考記事:「キリンホールディングス公式 エレキソルト公式オンラインストア」
食物中に分散している塩味のもと(ナトリウムイオン)を電気の力で舌周辺に集めることで、塩味が強くなったと錯覚させるメカニズムのようです。食物中に含まれる塩の総量は同じなので、結果的に満足感を得ながら減塩できるのですね。
エレキソルトスプーン開発のきっかけは、「大切なのは分かるけど、辛くて続けられない」という食事療法を続ける患者さんの声だったとのこと。食事は最大の娯楽とも言いますし、塩味が薄いとどうしても味気なくなって食欲が沸いてこなくなって活力が落ちてしまいます。
そこで、キリンホールディングスが明治大学とタッグを組んで生まれたのが、今回の「エレキソルトスプーン」です。
若いうちは運動で汗もかきますし、あまり減塩を考える必要がありませんが、高齢になってくると運動量も減って代謝も落ちてくるので、他人ごとではなくなってきます。
こういった器具・選択肢が存在していると知っているだけで、高齢者になってもQOLを下げることなく生活できそうだなと安心できますね。
独特食感を実現した食品の製造方法に特許取得
日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社(KFC)は、今年で販売20周年を迎える「レッドホットチキン」のキャンペーンを行ったというニュースが入りました。
参考記事:「KFC『レッドホットチキン』開発秘話 独特の“サクサク衣”は特許取得」
レッドホットチキンはキレのある辛さと「日本人好みのサクサク衣」が特徴のチキンで、開発には4年ほどかかったとのこと。ちなみに、この「サクサク衣」の製造方法は特許が取得されています。
KFCは「揚げ物の製造方法」以外にも、「揚げ物用衣材」や「から揚げ粉」「パン・ピザクラストの製造方法」なども特許権を取得しています。
こういったニュースを知ると、ケンタッキーのチキンを食べてみたくなりますね。
KFCに限らず、食品会社は日々研究開発を行っており、「製造方法」「製造する装置」などが特許出願されています。独自の食感・味を実現した食品、効率的な製造方法などについては特許取得できる可能性があります。
まずは調査をしてみることをオススメします。
肉の味のする米? 新たな食感や風味を味わえる新食材の爆誕か
少し前に、中国北京の研究機関のチームが、米粒の表面に肉細胞を培養する方法を開発したというニュースを目にしました。
参考記事:「Interesting Engineering What the fork? Lab-grown rice packs protein punch from chicken, pork」
米粒の表面にニワトリや豚の細胞の薄い膜を貼り付け成長させることで、肉培養するとのこと。
米の表面で肉培養するとは、面白いことを考える人がいるのですね。
記事によると、見た目は普通の米と同じだが、調理をすると肉と米の両方の匂いがするらしく、タンパク質を補う栄養価の高い米が作れると期待されている模様です。
通常の肉の生産は地球に大きな負担をかけているとされており、何年か前から、肉細胞を人工的に培養して増やす「クリーンミート」と呼ばれる培養肉の研究が進んでいます。畜産の場合には、抗生物質投与による抗生物質耐性菌が生まれてしまうことによる恐れもあって、生態系への影響抑制や温室効果ガス排出量の抑制などの面からも人工培養肉は期待されています。
とはいえ、技術的なハードルもまだまだ高いため、手頃な値段で量産できるようになるかはまだ不明ですが、
個人的には、美味しければこういった食材があっても良いなという感想です。
具体的には、
肉に覆われた米を噛んだ際の弾けるような食感や風味などを味わってみたいし、新たな食材・料理レシピが生まれる可能性も多々あり、食材や料理作りの選択肢が増えることに期待しています。
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いかがでしたでしょうか?
今後も気になったニュースをご紹介したいと思います。ご質問やご相談がある方は、お気軽にお問合せください。
それでは!