特許権の侵害とは?どんな行為が該当するのか解説します
兵庫県西宮市にある「倉橋特許商標事務所」の代表で、《商標・特許を専門とする弁理士》の倉橋和之と申します。
当ブログでは、世間一般にあまり聞き慣れないと言われる知的財産に関する知識・情報や、私の活動や考えなどを発信しています。
今回は、「特許権の侵害となる行為」について簡単に解説していきたいと思います。
目次
特許権の侵害とは?
特許権の侵害とは、
正当な理由・権限のない他人が、業として特許発明を
❷ 侵害する可能性の高い予備的行為を行うこと(間接侵害)
を言います。
これらの行為を行っている場合に、特許権者等は差止請求や、侵害行為に供した設備の除去、損害賠償請求などを行うことが可能です(参考条文:特許権第68条、第100条、第101条、第38条)。
・特許発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定められます(特許法第70条第11項)。
そして、特許請求の範囲に記載された用語の定義は、明細書や図面の記載を考慮して解釈されます(特許法第70条第2項)。
・特許発明の技術範囲は、これ以外に、出願人の出願経過(審査中に意見書などで主張した内容など)や、公知技術などを参酌して解釈されます。
特許発明の「実施」とは、以下(1)~(3)に示す行為を指します(特許法第2条第3項)。
(1) 物の発明の場合 :物の「生産」「使用」「譲渡または貸渡」「輸出」「輸入」「譲渡等の申出(売り込み等)」などの行為
(2) 方法の発明の場合 :その方法を使用する行為
(3) 製法の発明の場合 :製法を「使用」の他、製造物の「生産」「使用」「譲渡または貸渡」「輸出」「輸入」「譲渡等の申出」をする行為をいいます。
侵害とみなされる行為(間接侵害)とはどんな行為が該当するの?
上にも書きましたが、特許発明を業として実施する行為(直接侵害)以外にも、侵害とみなされる予備的行為(間接侵害)があります。
間接侵害(侵害の予備的行為)は、例えば、次に示すような他人の行為が該当します。
(a) 物の発明において、業として専用品(物を生産にのみ用いるもの)を「生産」「譲渡」「輸入」「譲渡等の申出」をする行為
(b) 物の発明おいて、国内で広く一般流通していない非専用品(その物以外の生産用途があるマシンや道具、原料など)で発明の課題解決に不可欠なものを、特許発明の実施になると知りながら、業として「生産」「譲渡」「輸入」「譲渡等の申出」をする行為
(c) 物の発明において、その物を業として譲渡または輸出のために「所持」する行為
(d) 方法の発明において、その方法の使用にのみ用いる物を「生産」「譲渡」「輸入」「譲渡等の申出」する行為
(e) 方法の発明において、国内で広く一般流通していない「その方法に使用する物」で 発明の課題解決に不可欠なものを、特許発明の実施になると知りながら、業として「生産」「譲渡」「輸出」「譲渡等の申出」をする行為
(f) 物の製法発明において、その方法による生産物を、業として譲渡または輸出のために「所持」する行為
条文の文言を解りやすくするため、並べ替えたり言い換えたりしましたが、文章が長いですね。つまり、要件が細かく決められています。
このように、侵害の予備的行為(間接侵害)の要件判断は、かなり細かく面倒なため、今回は普通の侵害行為(直接侵害)以外にも、こういった侵害の予備的行為(間接侵害)というものがあるということを、頭の片隅に置いてくれれば幸いです。
いかがでしたか?
侵害の判断は、ややこしいケースが多く専門的な知識・経験が必要になることが多いです。
「これから販売する製品が他人の権利を侵害していないだろうか」「他者が販売している商品が、自分の権利を侵害しているのでは?」と、判断に迷われている場合には、信頼できる弁理士に依頼することをオススメします。
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