意匠権をどう活かせるか解説します!

兵庫県西宮市にある「倉橋特許商標事務所」の代表で、《商標・特許を専門とする弁理士》の倉橋和之と申します。

当ブログでは、世間一般にあまり聞き慣れないと言われる知的財産に関する知識・情報や、私の活動や考えなどを発信しています。

 

 

今回は、その使い方を含めた「登録意匠をどう活かせるか」について、解説したいと思います。

 

意匠権(登録した意匠)はどう活かせる?

取得した意匠権は、例えば次のように活かすことができます。

1.信頼性の向上と、デザイン力のアピールになる

 

2.ビジネス機会の拡大が期待できる

 

3.ブランド形成に寄与

 

4.知財保護の補完

 

5.自社の創作意欲の向上

 

6.模倣品・類似品の排除

 

7.他者へのけん制

 

8.外国での審査・紛争時の優位性を獲得できる

 

 

これらは意匠権を取得することにより期待される効果で、上記1~3「ビジネスの発展」、上記「知的財産の更なる保護」、上記6~8「トラブル防止」の効果になります。

 

 

以下、上から順に簡単に説明していきます。

但し、上記6~8「トラブル防止」は、以前書いた記事で詳しく説明しているので、説明を省略させていただきます。

参考:「 意匠を登録することでどんなトラブルが防げる?

 

 

 信頼性の向上と、デザイン力のアピールになる

出願した意匠は、「新規性(これまでにない意匠か否か)」および「進歩性(既存の意匠から創作容易ではないか否か)」を満たしてい場合に限り、登録されます。

 

つまり、意匠登録できれば、出願した意匠自体のオリジナリティが証明されるだけでなく、自社のデザイン力のアピールにもなり、顧客や取引先など対外的な信頼性の向上が期待できます。

 

また、意匠権を取得することで、自ら創作したデザインをしっかりと保護する企業であるというアピールにもなります。

 

 

 ビジネス機会の拡大が期待できる

意匠が登録されると意匠公報によって公示されます。つまり、意匠権を誰が持っているかが明確となります。

 

例えば、広く知られた意匠(デザイン)の権利を有することは、それだけで信頼性の向上につながり、交渉がスムーズにいく場合があります。意匠権を取得しておくことで、他の企業の引き合いにつながったという事例もあり、営業ツールとしても役立ちます。

 

また、登録意匠は、他社にライセンス契約をする際の拠り所となるため、自社が実施しなくても実施料を得られる場合もあります。

 

 

 ブランド形成に寄与

シリーズとして継続して使用するデザインや共通するデザインを保護することで、ブランドを形成していくことが可能になります。

 

最近では、製品そのものだけでなく、パーケージや展示用の器材などをプロモーションアイテムとして、意匠権によって総合的に保護する場合もあります。

 

その形状を一目見て、〇〇の商品だと分かるくらいになれば、ブランド形成に成功したと言えます。

需要者の間で、かなり著名なデザイン・形状だと認識されるようになれば、立体商標として登録できる可能性が高まります。立体商標として登録した場合、その形状は半永久的に自社のブランド・広告塔として保護することも可能です。

 

 

 知財保護の補完

知的財産保護の補完のために、意匠権を取得することも考えられます。

 

例えば、機能的・構造的な特徴から特許権を取得した場合でも、意匠権を取得することで多面的に権利を保護することができます(多面的に権利を保護することで、模倣品を排除しやすくなります)。

 

 

また、創作した技術・機能を特許として保護できそうにないと判断した場合に、意匠登録を目指すことが行われます(特許権取得のハードルの高さから、特徴的な形状の場合には意匠権を選択することが良くあります)。

さらに、特許権の存続期間は出願から20年ですが、意匠権は出願から25年と特許よりも長くなっています。そのため、より長期にわたる権利保護を目的として、特許権と意匠権を両方取得することもあります。

 

このほか、特許権と意匠権の審査期間の違いを考慮して、特許権が発生するまでの間、意匠権で保護するという方法も考えられます。

基本的に、特許の審査期間は、意匠に比べて長くなっています。但し、特許権の権利範囲は、意匠権よりもはるかに広い範囲となることが多いです。

 

 

 自社の創作意欲の向上

意匠が登録された場合、権利者である企業名だけでなく、創作者の名前を含めて意匠公報で開示されます。

また、意匠権や特許権は自社の経営活動に寄与することから、件数やその重要度による社内報償制度を設けている企業は多くあります。

 

積極的にデザインの創作を奨励することで、創作者である社員の創作意欲の向上が期待できます。

意匠権として登録されるからこそ、創作者の成果がハッキリと認識しやすくなると言えます。

 

 

 

以上に示したように、登録意匠の活かし方は多くあります。

なお、6.模倣品・類似品の排除」「7.他者へのけん制」「8.外国での審査・紛争時の優位性を獲得できる」という意匠権のトラブル防止効果については、以前書いた記事で詳しく説明しているので、説明を省略しています。

参考:「 意匠を登録することでどんなトラブルが防げる?

 

 

いかがでしたか?

意匠登録は公開前に行う必要があり、一度きりの機会となります。出願書類に不備があると、意匠登録ができなくなってしまいますので、ご自身で登録手続をされる際はお気を付けください。意匠調査や意匠登録は専門性が高いため、できれば弁理士などに依頼することをオススメします。

 

また、「どういったものが意匠権で保護されるのか知りたい」「意匠登録によるメリット教えてほしい」「意匠登録できるか調査してほしい」「自分の製品が意匠権に抵触してないか調べてほしい」といったご相談も承ります。

お持ちのデザインについてご相談いただければ、事業内容などを考慮して どの制度を用いて出願するか(登録すべきか否かも含めて)ご提案させていただきますので、まずはお気軽にご連絡ください。

 

当事務所では、商標や特許、意匠の出願手続のほか、
スタートアップや中小事業者の知財トラブルを未然に防ぐ「知財の相談窓口」として、ブランディングや(商品開発段階・商品販売後の)権利侵害などの相談も承っています。

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