【2024年5月第4週】気になったニュースを紹介&解説4

こんにちは、兵庫県 西宮市の弁理士・倉橋です。

 

 

今回は少し趣きを変えて、2024年5月4週目までのニュースで気になった記事をピックアップして、解説したいと思います。

 

原油処理装置のAIによる自動運転を開始へ

先日(5/24)、ENEOS株式会社と株式会社Preferred Networksが、原油処理を行う蒸留装置でAIによる自動運転を開始したと発表しました。

 

石油精製プラントでの蒸留装置の操作は、大規模かつ複雑なことから、長年の経験と熟練の技術に基づいた運転ノウハウが求められていた分野です。これを人の技量に左右されない安定的運転のため、2018年度から共同開発を進めていたとのこと。

 

今後、生産人口の急激な減少は免れませんし、その分野の就労人口が減った場合は技術継承がされず、ノウハウが絶えてしまう恐れがあります。

今回のような人間の熟達した技術をAIに置き換えていくという事例は、今後も急激に増えていくものと思われます。

 

 

海洋資源の枯渇問題の光となるか!? 何度も鮭を生むニジマスを開発

東京海洋大学の吉崎悟朗教授らの研究チームが鮭の卵や精子をニジマスにつくらせる技術を開発したというニュースが入りました。
鮭は生涯に一度しか卵や精子をつくれないが、ニジマスを代理親として使えば何度もつくれるとのこと。

 

参考記事:「日本経済新聞 何度もサケ産むニジマスを開発 東京海洋大学が養殖向け

 

何度も鮭の卵や精子をつくらせることが可能になれば、鮭の生産量が飛躍的に上がるだけでなく、交配実験による品種改良も進むものと思われます。

国際的にみても全体的に魚貝類・海洋資源の消費量は年々増えており、海洋資源の国際的な取り合いが生じていることから、魚貝類の価格は年々上がっています。そして、これからも価格が上がることが予想されます。

 

鮭の稚魚をニジマスで作るというのも可哀そうな気もしますが、この技術を使えば、鮭の生産量が劇的に増やせる可能性があり、
安定的な海洋資源の確保が可能になるかもしれません。

今後は鮭だけでなく、他の海洋生物にも広く技術が応用できないか、この研究には期待したいです。

 

さらに、カイワリとマアジの近縁種同士を掛け合わせ、より優れた特性を持って生まれる「雑種強勢」を狙った研究も進められているとのこと。こちらも非常に楽しみです。

参考:「毎日新聞 「幻の魚」をハイブリッドで食卓へ 漁師「絶品」評価も養殖困難

 

 

AIは発明者になれるか否か。望まれる結論・制度設計

先日、AI(人口知能)が発明した技術について特許が認められるかどうかが争点となった訴訟があり、16日に東京地裁が「発明者は人間に限られる」として、米国在住の出願人の請求を棄却する判決がなされました。

この一方、東京地裁は、現行法ではAIの発明を想定されておらず、民主的議論を経てAIに関する制度設計・結論を得る必要があることについても言及しました。

参考記事:「NHKニュース AIの発明 特許を認めない判決「発明者は人に限られる」

 

現在、発明は人間(自然人)の創造的活動の産物であるとされており、条文上はAIは発明者にはなれません。
但し、上述されているように現行法では、AI発明は想定されておらず、今後もこういった争いは増えていくことが予想されるため、裁判所としても明確な判断基準を望んでいることが分かります。

さらに最近では、人間がAIを使って発明した技術を特許出願するケースも増えてきましたが、AI発明が実施可能か否か検証がされていない問題(必要であるという問題)も生じています。

例えば、化学・材料分野などでは、開発スピード向上や効率性を高めるため、ビッグデータから必要な特性を有する材料の組み合わせや製造方法をAIを使って予測することも実際に行われています。ただし、AIの回答が常に正解というわけではなく、実際には実施不可能なものもあったりします。

なので、現状の特許審査では、AI発明は実験・検証がなされたものだけが登録されるという運用になっています。一方で、実施可能か検証されていないAI発明の特許出願が増えてしまうと、特許審査が追い付かなくなってしまう恐れもあります。

 

なお、AIを発明者と認めると、(権利の譲渡など)色々と問題が起きることが予想されるため、個人的には私は、AIが発明者になれない現行法でよいと考えます。

なにかと著作権問題がクローズアップされることが多い生成AIですが、様々な分野においてとてつもない存在感を持ったツールですね。
間違いなく私たちの生活に広く浸透していくツールですので、私たちも速やかな制度設計を望みます。

 

 

AIを利用した発明、発明者は「人間」。政府見解

政府が近くまとめる「知的財産推進計画2024」において、AI(人工知能)を利用した発明だとして、「発明者」は人間とするべきだという見解を明記することが判明しました。

参考記事:「Yahoo!ニュース AIを利用した創作物、発明者は「人間」…政府が知的財産計画で見解明記へ

 

現在のAIの技術水準では「AI自身が、自分で考えて(人間の関与を離れ)、自律的に創作活動を行っているという事実は確認できない」というのが、その理由とのこと。従来どおりの見解なので、特に驚きはありません。

 

逆に考えれば、AIが自律的に考えて判断し、発明するようになった場合には、AIを発明者として認めるとも読めます。
まあ、その頃には完全に人間の知的活動はAIに置き換わっているでしょうし、発明者だけでなく審査官もAIがやっているでしょうね。

というか、AIが発明者の場合に、特許権を与える必要もないと思われます。

 

 

 

いかがでしたでしょうか?

今後も気になったニュースをご紹介したいと思います。ご質問やご相談がある方は、お気軽にお問合せください。

それでは!

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