商標制度(類否判断)では判例がとても重要
兵庫県西宮市にある「倉橋特許商標事務所」の代表で、《商標・特許を専門とする弁理士》の倉橋和之と申します。
当ブログでは、世間一般にあまり聞き慣れないと言われる知的財産に関する知識・情報や、私の活動や考えなどを発信しています。
これを書いているのは2022年7月18日(月・祝)で、3連休最後の日です。
思うところあって、この3連休は商標の書籍を読んだり、判例チェックをしたりして過ごしていましたが、ふと思い立って
今回は、「商標制度(類否判断)では判例がとても重要!」という内容について、記事にまとめてみました。
なぜ商標制度では判例が重要なの?
さて、ここでいう「判例」とは、裁判例や判決例、審決のことです。
実際に高等裁判所で争ったものから、審判(無効審判・拒絶理由不服審判)でなされた審決の結果、異議申し立てによって特許庁で判断されたものなどを含みます。
そして、多くの判例は「個別具体的な商標同士の類否判断を行った結果」であり、それらをまとめて体系化したたものが「商標審査基準」に記載されます。
ですので、商標の類否判断(類似しているか否かの判断)する場合には、判例を調べることが非常に重要です。
例えば、商標出願の審査において、審査官が送付してきた拒絶理由に対し、判例を用いて反論することは非常に有効な手段だと言えます。
・もう一度説明すると、
判例の大半は 類否判断(商標同士が類似しているか否かの判断)を争ったものになりますが、これらの判例は非常に重要で、それらを体系化してまとめたものが「商標審査基準」に記載されます。
つまり、商標同士の類否判断の基準は、いくつもの判例が元(基礎)になっている場合が多いということ。
(※ もちろん全てではありませんが、商標は判例が特に重要視されている理由でもあります)
・この「商標審査基準」は審査官が審査する際の拠り所であって、私たち弁理士にとっても必読書です。実務をしている者で読んだことが無い人は、おそらくいません。
参考:「 特許庁 商標審査基準 」
以上のように、弁理士にとって「商標審査基準を理解すること」「判例を多く知ること」は実務でも武器を揃えることだと言えます。
簡単に言うと、私たち専門家(弁理士)にとっても、判例をいくつも知っていることが業務をする上で安心感につながってます。個人的には、審査基準に大きな影響を及ぼした重要判例なんかもあるので、判例を読むのは楽しいこともあります♬
しかし、一番のネックは、やはり「判例の文章はとても長いこと」でしょうか💦
一般の方が、仕事でもない限り判例等を読み込むことは、かなりの重労働になると考えます。
弁理士や特許庁の審査官は、「楽しいから」や「必要だから」といった理由の違いはあれ、こういった判例を読み込んでいます。
ご自身では難しいなと感じた場合や、審査段階や侵害判断で迷われた際は、専門家にご相談ください。
いかがでしたか?
商標はブランディングに用いられるため、商標権は個人事業主や中小企業の方にとって、おそらく特許権や意匠権よりも馴染み深い権利になると思います。