実際にどういったものが意匠登録されているのか事例を紹介(その1)
兵庫県西宮市にある「倉橋特許商標事務所」の代表で、《商標・特許を専門とする弁理士》の倉橋和之と申します。
当ブログでは、世間一般にあまり聞き慣れないと言われる知的財産に関する知識・情報や、私の活動や考えなどを発信しています。
今回は、意匠・意匠権についてイメージを掴んでいただくために、実際に登録されている意匠について事例を交えて紹介したいと思います。
時間があったら、また登録意匠の事例紹介をしたいと思ったので、タイトルは(その1)とさせていただきました。
(本記事に挿入されている画像はいずれも「知的財産の情報プラットフォーム j-platpat」からの抜粋です)
目次
実際にどんな意匠が登録されているのか?(登録意匠の事例紹介)
以下、登録されている意匠の一例を示します。
乗用自動車の一例
意匠に係る物品が「乗用自動車」で登録されている意匠は数限りなくあります。
日本車の種類は非常に多いので当然ですよね。以下に示す例は、トヨタのヴィッツという車種のデザインですが、車のデザインは発表前に意匠出願がされています。
登録番号: 第1648758号
意匠権者: トヨタ自動車株式会社
これ以外にも、様々なシリーズのデザインが登録されています。
ボールペンの一例
意匠権は、基本的には工業製品などの量産品のデザインを保護するものです。私が思いついたのは「ボールペン」のデザインとして登録されている意匠です。フリックノックで有名なボールペンの形状ですね。
登録番号: 第1399474号
意匠権者: 株式会社パイロットコーポレーション
これ以外にも、工業製品として思い付く物品(意匠として登録可能な物品)は、たくさんあります。
パッ思い付くだけでも、シャーペンや万年筆、ハサミ、机、椅子、本棚、食器棚、イヤホン、マイク、カメラ、リモコン、マウス、ドローン、靴下、手袋、時計、腕時計、鏡、メガネ、指輪、イヤリング、カレンダー、ハンガー、エアコンなどがあり、登録要件を満たせばほぼ全ての物品のデザインを登録できます。
玩具の一例
意匠に係る物品「玩具」で登録されている意匠も非常に多いのですが、私はこれが目に留まりました。2020年とても流行った漫画の主人公の刀を模したオモチャですね。
登録番号: 第1676611号
意匠権者: 株式会社バンダイ
これ以外にも、人形やミニカーなどの登録意匠が多かったです。お子さんがお持ちの玩具も登録されていることが多いと思われます。
食品(菓子・パンなど)の一例
・基本的に登録される意匠は、工業製品などと考えられがちですが、食品だって登録可能です。その中で、菓子やパンなどの登録意匠を紹介します。
登録番号: 第1529664号
意匠権者: 株式会社プレジィール
オードリーの「グレイシア」という有名なお菓子のデザインですね。
・砂のような砂糖も任意の形に成型すれば登録することもできます。以下は、意匠に係る物品「猫型角砂糖」で登録された意匠です。
登録番号: 第1629171号
意匠権者: 山口 健次郎
・以下は、意匠に係る物品「菓子パン」で登録されている意匠です。
登録番号: 第1266678号
意匠権者: 山崎製パン株式会社
・以下は、意匠に係る物品「和菓子」で登録された意匠になります。
登録番号: 第1618836号
意匠権者: 株式会社鶴屋長生
これ以外にも、パンケーキや焼き菓子なども多数登録されています。
包装容器・包装用紙の一例
・商品本体だけでなく、「包装容器」や「包装用紙」も意匠に係る物品となります。以下は、意匠に係る物品「弁当用包装容器」の登録意匠です。
登録番号: 第1550325号
意匠権者: タカギ産業株式会社
・以下は、意匠に係る物品「菓子用包装容器」の登録意匠になります。
登録番号: 第1395979号
意匠権者: 株式会社ロイズコンフェクト
・以下は、意匠に係る物品「包装用紙」の登録意匠になります。トイレットペーパーで見たことがある人も多いかもしれませんね。
登録番号: 第1288845号
意匠権者: 大王製紙株式会社
画像の一例
・意匠に係る物品が「画像」で登録することも可能です。以下は、意匠に係る物品「アイコン用画像」の登録意匠です。アプリケーションのアイコン用の画像らしいです。
登録番号: 第1675966号
意匠権者: 株式会社スカイコム
・画像は画面などに表示されるものだけとは限りません。以下は、意匠に係る物品「車両情報表示用画像」で登録されている意匠です。図面からは分かりにくいかもしれませんが、画像投影装置付きの車両から路面に照射・投影された画像です。このように、床や壁などに投影した画像も保護対象とできます。
登録番号: 第1672383号
意匠権者: 株式会社小糸製作所
いかがでしたか?
意匠登録は公開前に行う必要があり、一度きりの機会となります。
出願書類に不備があると、意匠登録ができなくなってしまいますので、ご自身で登録手続をされる際はお気を付けください。意匠調査や意匠登録は専門性が高いため、できれば弁理士などに依頼することをオススメします。
お持ちのデザインについてご相談いただければ、事業内容などを考慮して どの制度を用いて出願するか(登録すべきか否かも含めて)ご提案させていただきますので、まずはお気軽にご連絡ください。
また、「どういったものが意匠権で保護されるのか知りたい」「意匠登録によるメリット教えてほしい」「意匠登録できるか調査してほしい」「自分の製品が意匠権に抵触してないか調べてほしい」といったご相談も承ります。
当事務所では、商標や特許、意匠の出願手続のほか、
スタートアップや中小事業者の知財トラブルを未然に防ぐ「知財の相談窓口」として、ブランディングや(商品開発段階・商品販売後の)権利侵害などの相談も承っています。