特許・商標・意匠などの紙の登録証がもらえなくなる?【オンライン発送書類のデジタル化の拡充】
兵庫県西宮市にある「倉橋特許商標事務所」の代表で、《商標・特許を専門とする弁理士》の倉橋和之と申します。
当ブログでは、世間一般にあまり聞き慣れないと言われる知的財産に関する知識・情報や、私の活動や考えなどを発信しています。
さてタイトルにも記載したように、
今回は、発送書類のデジタル化の拡充によって「特許や商標、意匠などの紙の登録書が送られてこなくなる可能性がある」というお話をしたいと思います。
目次
『紙の登録書』は送られてこなくなるの?
これまで、特許や意匠、商標などで登録されると、特許庁から紙の登録証が送付されてきていましたが、
今後はインターネット出願ソフト経由でデータを受信してしまうと、紙の登録証は送られなくなります。
「申請手続及び発送手続のデジタル化」による影響です。
つまり、「インターネット出願ソフト」を利用している場合に、発送書類をデータで受け取ってしまうと、紙の書類は発送されてこなくなってしまいます。
参考:「特許庁 発送手続のデジタル化について」
より具体的には、
インターネット出願ソフトでの発送書類の受け取りの際、「4.共通」にチェックを入れていると、登録証などをデータで受信することになるため、紙の登録証がもらえなくなります。
登録証や通知書などをデータで受け取ってしまった場合には?
インターネット出願ソフト経由で登録証などのデータ(オンライン発送書類)を受け取ってしまうと、紙の登録証は送られてきません。
ただし、再交付請求をすると紙の登録証などが郵送してもらえるようです。
なお、オンライン発送書類のメリットは、早期に登録証などをデータとして受け取れることです。
このため、登録番号を早く知りたいという場合には、オンライン発送が良い場合もあります(登録証などをオンライン発送にしている弁理士事務所も多いです)。
『紙の登録書」がほしい場合は?
紙の登録証が欲しい場合は、次の3とおりが考えられます
(1)インターネット出願ソフトを利用しない
(2)インターネット出願ソフトを利用している場合は、発送書類の受け取りの際の「4.共通」のチェックを外しておく。
(3)登録証のデータを印刷する
【インターネット出願ソフトを利用していて、特許庁から直接、登録証(紙)を受け取りたい場合】
発送書類の受け取りの際に「4.共通」にチェックを外しておく必要があります。
受け取り可能期間内にオンライン発送書類を受領しなかった場合、書面による発送に切り替わり、登録証などの書類が特許庁から送付されます。
【注意点】
オンライン発送書類を受領しない場合、書面発送に切り替わるのに時間がかかり、実際に手元に送られてくるまでも時間がかかります(登録料の納付から1ヶ月~1ヵ月半くらい)。
オンライン化の流れには逆らえませんが、紙の登録証が欲しいという需要は結構あります。
(結構、紙もしっかりしていて縁の装飾デザインが豪華ですよね)
私のクライアント様は、「登録証を額に入れて良く見える場所に飾っておきたい」という話をされていたので、紙の登録証のニーズは割とありそうです。
オンライン化することで様々な面で便利になりますが、紙文化も残って欲しいところがありますね。
お気を付けください。
いかがでしたか?
当事務所では、常に最新情報の入手に努めており、出願手続やご相談の前には特許庁などのホームページなどをチェックしておりますので、ご安心ください。