商標ってどうやって決めてるの?どんなものを登録しているのかを紹介
兵庫県西宮市にある「倉橋特許商標事務所」の代表で、《商標・特許を専門とする弁理士》の倉橋和之と申します。
当ブログでは、世間一般にあまり聞き慣れないと言われる知的財産に関する知識・情報や、私の活動や考えなどを発信しています。
今回は、「どんな基準で登録する商標を決める場合が多いのか」について、事例や、私の経験談を交えて簡単に紹介したいと思います。
目次
商標を決定する際の基準とは?
実を言うと、登録する(使用する)商標を決める場合の基準は、その企業や人に依って様々です。
たまに「急にインスピレーションが湧いて、思い付いた!」という猛者もおられますが、次のような基準で商標を決めておられる方も多いように思います。
・商品またはサービス(商品等)のイメージで決める
・商品等のコンセプトから決める
・商品等の特徴や語呂あわせで決める
例えば、その商品を使用する際に「パチパチ」という出る音がでるから、「パチパチ〇〇(〇〇は商品の普通名称や略称)」にする例や、
ニオイがしなくなる特徴があって、それをお客さんにイメージしやすくなるようにするため、商品名に「ムシューダ」という商標を登録している例(登録番号:第2056241号)だってあります。
また、高級なイメージを持たせるため、王冠という英単語を高級車のシリーズ名として商標登録したトヨタ自動車の「クラウン(CROWN)」(登録番号:第926786号)などもあります。
商標は誰がどうやって決めることが多い?
個人事業主の場合は自分で使用する商標を決めるしかありませんが、企業の場合、社長の一存や社内会議の場で決めたり、社内公募・社内投票で決めたりすることが多いようです。
私の経験上、少人数の会社では、経営陣が商標を決定している場合が多かったです。
どんなものを商標登録するの?
事業者が登録しようと考える商標は、例えば次のようなものが考えられます。
1.会社名や組織のロゴ
2.商品等のシリーズ・カテゴリー・グレード名
3.商品またはサービス名
4.独自技術の名称
例えば、大手企業などは「トヨタ®」や「グリコ®」といったハウスマーク(会社名や組織名)やそのロゴマークを商標として登録していますし(上記1.)するだけでなく、
トヨタ®の「クラウン」や「カローラ」、グリコ®の「パピコ」といったシリーズ名(ファミリーネーム)も商標登録しています(上記2.)
また、トヨタ®はクラウンシリーズの「マジェスタ」や、グリコ®が販売している「カレー職人」など、それぞれの商品名も個別に商標登録しています(上記3.)。
独自技術の商標として有名なのは、株式会社ファーストリテイリングの持つ「ヒートテック」や、TOTO株式会社の「ハイドロテクト」などです(上記4.)。
このように商標は、社名やグループ名をブランド化するだけでなく、シリーズ名や個別の商品・サービス名、独自技術をブランド化するなど、幅広く登録・利用されています。
いかがでしたでしょうか?
商標はブランディングに用いられるため、商標権は個人事業主や中小企業の方にとって、おそらく特許権や意匠権よりも馴染み深い権利になると思います。