商標権の存続期間や、商標権を取得する場合の留意点
兵庫県西宮市にある「倉橋特許商標事務所」の代表で、《商標・特許を専門とする弁理士》の倉橋和之と申します。
当ブログでは、世間一般にあまり聞き慣れないと言われる知的財産に関する知識・情報や、私の活動や考えなどを発信しています。
今回は、「商標権の存続期間」や「商標権を取得する場合の留意点」などについて簡単に解説していきたいと思います。
目次
商標権の存続期間は?
商標権の存続期間は、基本的に登録日(設定登録日)から10年で終了します。
しかし、商標法は事業者の営業活動によって蓄積された信用を保護することを目的としているので、更新登録の申請を行うことにより、10年間の存続期間を何度でも更新することが可能です。
つまり、商標を適切に使用していれば、半永久的に権利を持続させることが可能です。
商標権の更新にかかる費用は?
10年ごとにやってくる商標権の更新登録には、(区分数) × 38,800円の費用がかかります。
なお、更新登録の際には、前期・後期(5年ごと)で分納することも可能となっています。
その場合、前期と後期でそれぞれ(区分数) × 22,600円の費用がかかります。
商標を事業者に長く使用してもらうことが法目的に沿うことになるため(消費者の利益を保護でき、取引秩序も保てる)、基本的に、存続期間を何度 更新しても 商標権の登録料(維持費)は一定となっています。
この点が、存続期間が長くなるにしたがって登録料が高くなっていく「特許権」や「意匠権」等とは異なっています。
商標権を取得する場合の留意点
(1)登録した商標を一定期間以上 使用していないと、取り消される場合がある。
具体的には、他者の登録している商標が使用されていない場合に、その商標権の取消を求めることができるという制度(不使用取消審判)があります。
【参考】
上述したように、商標権は事業者に長く「使用してもらう」ことで法目的を達成することになります。しかし、登録後に商標が使用されない場合はどうでしょう?
その場合、商標には業務上の信用が蓄積しておらず、保護する価値はありませんよね。また、保護価値の無い商標権があると、他の誰かが商標を取得したいと考えた場合に、商標を選択する余地が狭まる(選べる商標が少なくなってしまう)弊害も生じます。
そのため、こういった制度が設けられています。
(2)自分の商標を他人が不正に使用しているのを発見した場合、積極的に差止請求などを行う必要が生じる。
「自分の持つ商標」を他人に利用されまくった結果として、自分の商標が識別力を失ったり、商標が普通名称になったりした場合には、商標権が無効にされる恐れがあります(商標無効審判)。
そうならないために、自分の商標を他人が不正に使用しているのを見逃さないようにしなければなりません。
いかがでしたでしょうか?
商標はブランディングに用いられるため、商標権は個人事業主や中小企業の方にとって、おそらく特許権や意匠権よりも馴染み深い権利になると思います。