【注意】著作権は表現してこそ保護される!?【保護されるための条件とは】
兵庫県西宮市にある「倉橋特許商標事務所」の代表で、《商標・特許を専門とする弁理士》の倉橋和之と申します。
当ブログでは、世間一般にあまり聞き慣れないと言われる知的財産に関する知識・情報や、私の活動や考えなどを発信しています。
早いもので、2023年も1ヶ月半が経とうとしておりますね。バレンタインデーが終わり、そろそろ次年度に向けて動き出す人も多いのではないでしょうか?
今回は、「著作権」の基本的な考え方について、簡単に解説しようと思います。
目次
著作権で保護されるための条件とは?
著作権の発生条件とは?
まず、前提として、「著作権は、(特許権や商標権のような登録を必要とせず)自然発生する権利」です。
著作権に関するある質問について(アイデアは著作権で守ることができる?)
著作権なども専門に取り扱っておりますが、たまに、次のようなご相談(質問)を受けることがあります。
「私が先に考えついていたのに、別の人が同じような内容の作品を発表してしまった。どうにかならないのか?」という内容です。
具体的な事例にすると、例えば、次のようなご相談です。
「実は、私(Aさん)が考えていた小説のストーリーとかなり似ている小説を、最近 全然知らない他人が書籍にして販売していることが発覚しました。その人と私が住む地域はかなり遠く、全く関わりもありません。
でも、私の方が早く思い描いていたのは確実なので、私の著作権を使って販売をやめさせることはできないでしょうか?」
いわゆる、「先にアイデアを思い付いたのは自分なのに、別の人に先を越されてしまった。
アイデアは著作権では守れないの?」というもの。
この場合に、Aさんのアイデア(ストーリー)は著作権で保護されるでしょうか?
著作権は、表現してこそ保護される
上記の質問に対しては、「著作権は、何かしら表現することで はじめて保護される権利です」と回答することになります。
ご存じのとおり、著作権は「著作物を生み出した時点で自然発生する権利」です。
そして、著作物とは、「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、音楽又は美術の範囲に属するもの」とされています。
ですので、小説のストーリーにも著作権は発生します。
でも、一つ落とし穴(注意点)があります。
著作権は、著作物を作成した時点で発生するものです。つまり、あなたが自身の想いや感情などを誰かに知覚できるように表現していないと、著作権は発生しません。
目に見える形なのか、耳で聞こえる形なのか、文章なのか、絵なのか…
とにかく、その人の頭の中だけにあるアイデアは「著作物」とは認められておらず、著作権も発生しません。
この場合は、小説のストーリーを頭の中で思い描いていたとしても、あなたはそれを文章や音声などで残していない。
つまり、表現していないため、著作物ではありません。ですので著作権も発生してません。
まとめ
このように、頭に思い描いているアイデアだけでは保護はされません。
著作権で保護されるためには、音楽や文章、美術など何か目に見える形や聞こえる形にしなければなりません!
気を付けてくださいね。
いかがでしたか?
著作権は全ての人に関係する知的財産権ですが、「よくわかっていないので教えてほしい」という相談をよく受けます。
知らないうちに他人の著作権を侵害しているケースもあり、事業が軌道に乗りだしたころに警告を受けるという事態も散見されます。著作権に関してご相談があれば、当事務所にご連絡ください。