商標権の侵害とは?どんな行為が該当するのか解説します
兵庫県西宮市にある「倉橋特許商標事務所」の代表で、《商標・特許を専門とする弁理士》の倉橋和之と申します。
当ブログでは、世間一般にあまり聞き慣れないと言われる知的財産に関する知識・情報や、私の活動や考えなどを発信しています。
今回は、「商標権の侵害となる行為」について分かりやすく解説していきたいと思います。
目次
商標権の侵害とは?
商標権の侵害とは、❶他人が「専用権」または「禁止権」の範囲で登録商標を使用する行為や、❷その他の侵害とみなされる行為(予備的行為)を行うことを言います。
これらの行為を行っている場合には、商標権者は差止請求などを行うことが可能です。
・商標の侵害 =「❶ 専用権の侵害、または禁止権の侵害」+「❷ 侵害の予備的行為」
なお、専用権や禁止権については、別の記事で詳細に説明しているので、そちらを参考にしてみてくださいね。
参考記事:「 商標権の効力の範囲とは? 」
侵害とみなされる行為(予備的行為)とはどんな行為が該当するの?
上にも書きましたが、「専用権」「禁止権」の範囲以外にも、侵害とみなされる行為(侵害の予備的行為)というモノがあります。
侵害の予備的行為は、例えば、次に示すような他人の行為が該当します。
・登録商品(専用権・禁止権の範囲の商品)を、譲渡、引渡または輸出の目的で所持する行為
・登録サービスを提供するために、サービスを受ける人が利用する物(登録商標が付された物)を、所持または輸入する行為
・登録サービスを他人に提供させるために、サービスを受ける人が利用する物(登録商標が付された物)を、所持、輸入、譲渡または引渡する行為
・自分が使用する(付けるため)に、登録商標(ロゴマーク)を所持する行為
・他人に使用させる(付けさせるため)に、登録商標(ロゴマーク)を所持、譲渡または引渡する行為
・自分が使用するため、または他人に使用させるために、登録商標(ロゴマーク)を製造または輸入する行為
・登録商標(ロゴマーク)を製造するための専用マシンを、製造、譲渡、引渡または輸入する行為
これら侵害の予備的行為は、上から順に商標法37条2号~8号に規定されているものです。結構、言い回しが難解な条文なので、できるだけ理解しやすく編集しましたが、いかがだったでしょうか。
しかし、さすがに侵害の予備的行為についてまでは、皆さんが詳しく覚える必要はないと考えます。ここで伝えたかったのは、普通の侵害行為(登録商標を使った商品等を販売する等の侵害行為)以外にも、侵害の予備的行為(登録商標を使った商品等を所持する行為や、そのロゴマークを作ったり所持したりする行為など)というものがある、ということ。
侵害判断はややこしいケースが多く、細かな侵害判断も専門的な知識や経験が必要になることから、専門家に任せた方が安心だと思われます。
「ご自身の登録商標が他人に侵害されているのでは?」や「もしかすると他人の登録商標を侵害しているのでは?」とお考えの場合には、お気軽にご相談ください。
いかがでしたでしょうか?
商標はブランディングに用いられるため、商標権は個人事業主や中小企業の方にとって、おそらく特許権や意匠権よりも馴染み深い権利になると思います。