認証・証明マーク(認証商標)の商標登録について
こんにちは。兵庫県 西宮市の弁理士・倉橋です。
今回は、ご相談が増えてきた「認証・証明マークの商標登録(認証商標)」について、簡単に制度・概要を解説したいと思います。
目次
認証・証明マークとは?
皆さんは、認証・証明マークってご存じですか?
様々な商品などに付けられているマークで、例えば次に挙げるようなものが、ここで言う「認証・証明マーク」になります。
・JISマーク
・ウールマーク
・エコマーク
・JASマーク
・STマーク
・レインフォレスト・アライアンス認証マーク
・伝統マーク
「認証・証明マーク」を言葉で定義すると、次のとおりです。
ある商品・サービスの材料・原産地・品質・製法などが一定の基準を満たしていると特定の業者によって認証・証明されたことを示すマーク
特定の業者(認証登録機関など)が、一定の基準を満たしていることを認証し、その証明としてこの「認証・証明マーク」の使用が許諾されるものと考えてください。
他の商品・サービス(認証を受けていない、または一定の基準を満たしていない商品・サービス)と区別するために、用いるマークが「認証・証明マーク」です。
認証商標(認証・証明マーク)の商標登録について
この認証・証明マーク(認証商標)ですが、結論から言うと、商標登録が可能です。
例えば、上述した「ウールマーク」「エコマーク」「JASマーク」「STマーク」など、様々な認証・証明マークが既に商標登録されています。
【余談①】 認証・証明マークの商標登録には法的な解釈に議論あり?
ちなみにこの認証・証明マーク、かつては商標登録してよいか議論がありました。
というのも、商標法には次のような記載があるからです。
自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。(商標法第3条第1項柱書)
つまり、「認証商標(認証・証明マーク)は、通常、認証・証明する業者などが自ら使用するものではなく、他人の商品・サービスを認証してその使用を許諾する方法が一般的である」のに対し、商標法では「自らその商標を使用する者にのみ登録を認めている」という文言となっているからです。
認証・証明マークの使用許諾が「自らその商標を使用する」に該当するのか、「使用の定義」や「商標の機能(出所表示・品質保証等)」などを論点として、10年ほど前に多くの専門家によって盛んに議論が重ねられていました。
現在は議論も落ち着いており、現状、商標登録も認められています。
興味ががございましたら、調べてみてください。
【余談②】 認証商標制度という特別な制度を持つ国もある
日本では認証・証明マーク(認証商標)を保護する制度が明確化されていないため、既存の商標法をどう解釈するのか議論が起こっていましたが、
認証・証明マークを特別な制度によって保護する「認証商標制度」がある国も存在しています。
例えば、米国、英国、中国などは「認証商標制度」があります。
日本では、「認証商標制度」はありませんが(2024年10月現在)、将来的には導入される可能性はあります。
認証商標(認証・証明マーク)の登録方法は?
認証商標(認証・証明マーク)の登録も、通常の商標と同じになります。
指定商品・指定役務も、通常の商標と同じように、ご自身の認証商標の利用方法に沿って記載すれば問題ありません。
(記載する内容が分からない場合・迷っている場合には、専門家にご相談ください)
いかがでしたでしょうか。
「認証商標を登録したい方」や「認証商標の登録を検討中の方」「認証商標の運用方法で迷っている方」がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。
まずはヒアリングを行い、それぞれの方に合わせて必要な情報を提示・助言できるよう心掛けております。
当事務所では、商標や特許、意匠の権利取得手続のほか、
スタートアップや中小事業者の知財トラブルを未然に防ぐ「知財の相談窓口」として、ライセンス契約やブランディング(商品開発段階・商品販売後の)権利侵害などの相談も承っています。