商標権を取得するメリットとは?商標の機能とは?
兵庫県西宮市にある「倉橋特許商標事務所」の代表で、《商標・特許を専門とする弁理士》の倉橋和之と申します。
当ブログでは、世間一般にあまり聞き慣れないと言われる知的財産に関する知識・情報や、私の活動や考えなどを発信しています。
今回は、権利発生後の話として、「商標の機能(商標を使い続けるメリット)」と「商標権を取得するメリット」などについて解説します。
目次
商標の機能(商取引において商標の使い続けるメリット)
商取引における商標は、長年使い続けることで、次に示すような機能(働き)が期待できます。
1.出所表示機能
同一の商標が付いた商品等は常に同じ出所から提供されたことを示す機能
2.品質保証機能
同一の商標が付いた商品等は同一の品質を有することを保証する機能
3.広告宣伝機能
良い品質のブランドイメージや好感度によって、需要者に商品等の購買意欲を起こさせる機能
4.信用の財産的機能
商標が著名となり、財産権としての経済的な価値が生じる機能
上記1.2に示す機能は、商標が持つ自他商品等識別力(自分の商品またはサービスを、他人のものと識別できること)によるものであり、使用によって蓄積される信用の基礎となるものです。
そして、商売や業務を行っている人にとって、特に重要なのは上記3.4ですね。
長年にわたって商標を付して商品等を提供することにより、良い品質のブランドイメージが出来上がった場合には、商品等の品質や特徴が需要者に記憶され、購買意欲を起こさせることができます。
ブランドイメージが作られると、例えば、
「あのブランドは、シュッとしててカッコいいな」とか「このブランドなら品質が良いはず」「このブランドの製品は、あの形状が特徴的だよね」といったことを、消費者に思い起こさせることができるようになります。
また、商標が著名となって大きな顧客吸引力を有するようになった場合、高い付加価値を生み出すことが可能になります。例えば、「同じようなモノなのに、あのロゴが付いていると値段が全然違う!」というように、著名な商標を使用した商品等は、同一の品質であっても他の商品等よりも高い価値で取引されているモノもありますよね。こういった事は、皆さんも身近な例としてご存じのとおりだと思います。
このように、商標を使い続けることで、「売上のアップ」や「知名度・ブランド力の向上」「付加価値の創造」などの効果が期待できます。
商標権を取得するメリットとは?
商標権を取得するメリットは次のとおりです。
(1)安心して商標を使い続けることができる
商標を登録しておくことで、他人が自分の商標と同一・類似の商標権を取得するのを防げます
(2)模倣品を排除できる
自分の商標が自分の商標(またはそれに似た商標)を使っている人に「止めろ!」と言える
(3)知名度や取引先などからの信頼アップが期待できる
すでに登録されている商標と同じもの(または類似する商標)を登録することはできません。商標登録は早いモノ勝ちです。使用したい商標を登録しておくことで、その商標を他人が登録するのを防ぐことができます。そのため、安心して自分の商標を使い続けることができるようになります。
また、商標登録することで、(要件を満たせば)無断で紛らわしい商標を使っている他人に対し、使用差止や損害賠償の請求ができるようになります。そのため、商標を登録しておくことで、自分の商標を他人に模倣されにくくできます(模倣品の排除・抑止効果)。
いかがでしたでしょうか?
商標はブランディングに用いられるため、商標権は個人事業主や中小企業の方にとって、おそらく特許権や意匠権よりも馴染み深い権利になると思います。