著作権法における「同一性保持権」を簡単に解説します【著作者人格権】
こんにちは。兵庫県 西宮市の弁理士・倉橋です。
今回は、著作権法の「同一性保持権」について、簡単に分かりやすく解説していきます。
参考記事:「ときめきメモリアル事件を分かりやすく解説【同一性保持権の判例解説】」
目次
「著作者」と「著作権」の関係とは?
まず、予備知識として「著作者」と「著作権」の関係について、簡単に説明します。
例えば、誰かが創作活動をして「著作物」を作った場合、
その人は自動的に「著作者(創作者)」となり、「著作権」を持つことになります。
このように、「著作物」を創作した人は、著作者として法律(著作権法)で保護されます。
なお、創作物が「著作物」と認められるには、いくつかの要件があります。
「著作者」が持つ権利とは?
著作者がもつ権利は、次の2つです。
・著作者人格権
・著作権(財産権)
上述したように、これらの権利は、著作物を創作した時点で、著作者に自動的に与えられます。
一般的に著作権と言うと、上述した「著作権(財産権)」になります。
こちらは、財産権ですので、自らの意思で譲渡や使用許諾などが可能となります。
ですので、著作者が著作権者ではない(「著作者」≠「著作権者」)場合が、起こり得ます。
「著作者人格権」と「同一性保持権」との関係は?
「著作者人格権」は、著作者の人格的利益の保護を目的とする権利です。
なお、著作者の人格を保護する権利ですので、他人に譲り渡すことはできません。
そして、この「著作者人格権」には、「公表権」「氏名表示権」「同一性保持権」の3つの権利があります。
つまり、「同一性保持権」とは、著作者人格権の一つです。
『同一性保持権』とは? 簡単に解説します。
「同一性保持権」とは、
著作物の内容や題号について、自分(著作者)の意図に反して、改変(変更や切除など)されない権利のことを言います(著作権法第20条第1項)。
この権利に違反していた場合、著作者は違反者に対して差止請求などを行うことができます。
【注意】
但し、やむを得ないと認められる場合(著作物を利用する際にどうしても改変が避けられない場合など)には、「同一性保持権」が適応されない一部の例外も存在します(著作権法第20条第2項)。
いかがでしたでしょうか。
著作権法はかなり複雑ですし、法改正もよく行われている法律でもあります。最近ですと、生成AIの急速な普及によって法改正の方針について何度も検討会が行われていましたね。また、それぞれの置かれた立場によっても判断・結果が変わってくることがございます。
知らずに事業をしていると思わぬトラブルに発展してしまうこともあります。著作権に関してご相談がある方や、トラブルを未然に防ぎたい方がいらっしゃいましたら、「お問合せフォーム」などからお気軽にご相談ください。
【参考記事】
同一性保持権に関する判例として、『ときめきメモリアル事件』を解説する記事を作成いたしました。ご興味あれば、一読ください。