「不正競争防止法等の一部を改正する法律」が2024年に施行される予定です
兵庫県西宮市にある「倉橋特許商標事務所」の代表で、《商標・特許を専門とする弁理士》の倉橋和之と申します。
当ブログでは、世間一般にあまり聞き慣れないと言われる知的財産に関する知識・情報や、私の活動や考えなどを発信しています。
ご無沙汰しております。少し間があいてしまいましたが、いかがお過ごしでしょうか?
私はと言えば、色々と今年はプライベートもビジネスも大きな動きのある年となりました。
さて、タイトルにもあるように「不正競争防止法等の一部を改正する法律」が今年(2023年6月)に公布され、いよいよ来年(2024年)に施行される運びとなりましたので、ご報告いたします。
目次
『不正競争防止法等の一部を改正する法律』とは?
そもそも、「不正競争防止法等の一部を改正する法律」とは何なのか分からないと思いますので、以下簡単に説明いたします。
1.デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化
(1)登録可能な商標の拡充
(2)意匠登録手続きの要件緩和
(3)デジタル空間における模倣行為の防止
(4)営業秘密・限定提供データの保護強化
2.コロナ禍・デジタル化に対応した知的財産手続等の整備
(1)送達制度の見直し
(2)書面手続きのデジタル化等のための見直し
(3)手数料減免制度の見直し
3.国際的な事業展開に関する制度整備
(1)外国公務員贈賄に対する罰則の強化・拡充
(2)国際的な営業秘密侵害事案における手続の明確化
これら1~3が合体したものを「不正競争防止法等の一部を改正する法律」と呼んでいます。2023年3月に閣議決定され、同年6月14日に公布されました。施行は公布から1年以内ですので、来年施行予定となっております。
詳しい内容には、こちらを参照ください。
参考:「特許庁 不正競争防止法等の一部を改正する法律(令和5年6月14日法律第51号)」
実際に施行されたらどうなるのか?
この法律で特に皆様に関わりがある箇所は、
「1.デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化」になると思われます。
主な内容は次のとおりです。
(1)登録可能な商標の拡充
・他人が既に登録している商標と類似する商標は原則登録できませんが、先行商標の権利者の同意があって出所混同のおそれが無い場合は登録可能となります。
・自己の名前で事業を行う者が登録できるよう、氏名を含む商標も一定の場合には登録可能となります。
(2)意匠登録手続の要件緩和
・創作者等が出願前に、出願予定のデザインを複数公開した場合の救済措置の手続要件が緩和されます。
(3)デジタル空間における模倣行為の防止
・デジタル空間における他人の商品形態を模倣する行為も不正競争行為の対象とし、差止請求等を行使できるようになります。
こちらは、具体的には仮想空間「メタバース」上で模倣品対策です。
(4)営業秘密・限定提供データの保護の強化
・ビッグデータを他者に共有するサービスにおいて、データを秘密管理している場合も含めて「限定提供データ」として保護される。
なお、「限定提供データ」とは、他者との共有を前提に一定の条件下で利用可能な価値ある情報・データのことを言いますです
・損害賠償訴訟で被侵害者の生産能力等を超える損害分も、使用許諾料相当額として増額請求可能となる。
・裁定手続で提出される書類に営業秘密が記載された場合に閲覧制限を可能にする。
お気づきの方もいるかもしれませんが、以前私が別の記事で記載した内容は、コチラの抜粋になります。
これだけでなく、手続きに関しても2023年・2024年は大幅なアップデートがあって目まぐるしく動いていると感じます。法改正のチェック自体はしておりましたが、今回は記事にするのが遅れてすみません。
クライアントの皆様に最善の選択ができるよう・提案できる選択肢を増やせるよう常にアンテナを張っておりますので、これからもよろしくお願いいたします。
いかがでしたか?
当事務所では、常に最新情報の入手に努めており、出願手続やご相談の前には特許庁などのホームページなどをチェックしておりますので、ご安心ください。