マドプロ出願について簡単に解説【複数国に一括で商標出願できる】

兵庫県西宮市にある「倉橋特許商標事務所」の代表で、《商標・特許を専門とする弁理士》の倉橋和之と申します。

当ブログでは、世間一般にあまり聞き慣れないと言われる知的財産に関する知識・情報や、私の活動や考えなどを発信しています。

 

 

今回は、「マドプロ出願」について 少し深堀していきたいと思います。

 

マドプロ出願とは?

前回のおさらいになりますが、
マドプロ出願とは、日本の商標登録(または、商標出願)を基にして、日本の特許庁(本国官庁)に願書等を提出することで、複数国に一括して出願した効果が得られるというモノです。

 

マドリッド協定で採択された議定書で規定された出願のため、通称:マドプロ出願と呼ばれていますが、議定書では「国際登録の出願」と規定されています。

なお、上述した「複数国」とは、条約(マドリッド協定議定書)の締約国のことであり、その数は2021年(現在)で 107か国に及びます。

 

参考:「特許庁 商標の国際出願 締約国一覧

 

 

マドプロ出願の手続き

マドプロ出願は、日本の商標権(または商標登録)を基にして、日本の特許庁(本国官庁)に、願書等を提出します。

 

【手続き上の留意点】

・願書には、「領域指定(商標を保護したい締約国の国名)」「商品・サービス」「商品・サービスの区分」を記載する必要があります(必須)。

 

・なお、商標は、基にした商標登録(または商標出願)のものと同一でなくてはいけませんが、商品・サービスなどは一部が一致すれば問題ありません(もちろん、同一も可能)。

 

その後、日本の特許庁長官が「国際事務局」という管理団体に願書等を送付してくれるので、その後は、「国際事務局」を介して各国(領域指定した締約国)での審査を進めることになります。

 

 

マドプロ出願のメリットとは?

前回のおさらいになりますが、マドプロ出願には、例えば次に示すようなメリットがあります。多くの締約国に商標を出願したい場合にはオススメの方法です。

・必要経費の削減が可能
  各国にそれぞれ出願した場合に比べて、経費が安価に抑えられます

 

・出願手続きが簡素化できる
  特許庁に提出するだけで複数国に出願した効果が得られるため、手続きを簡略化できます

 

・商標権を一括管理が可能
  各国商標の存続期間を一括で更新できます

 

・各国での迅速な審査が期待できる
  議定書の規定により、拒絶理由の通知期限が定められているため

 

 

マドプロ出願の注意点(留意点)とは?

マドプロ出願の注意点(留意点)は次のとおりです。

・願書等の記載は、全て英語

セントラルアタックという制度に注意

 

「セントラルアタック」とは、マドプロ出願に特有の制度で、

「基礎とした日本(本国官庁)の商標登録」が無効・取消(商標出願が拒絶など)された場合には、各国へのマドプロ出願(および、マドプロ出願で取得した各国の商標権)は消滅してしまうという制度です。

 

つまり、ベースとなった商標権(商標出願)が消滅すると、各国での商標権(商標出願)も全て消滅してしまう可能性があるということ

 

前回、マドプロ出願は「本国での商標権(または、商標出願)をベースにして、その権利を拡張する規定である」と言ったのはコレが理由です。

 

 

セントラルアタックが起こらないようにするには、例えば、「日本国内で商標登録されてからマドプロ出願をする(デメリットもあります)」「不使用で取り消されないよう、気を付ける」などの対策が考えられます。

 

 

さて、今回の記事で 商標法・商標権について概要は一通りは説明できたと感じています。ですので、今回でひとまず商標については終了したいと思っています。

 

 

 

いかがでしたでしょうか?

商標はブランディングに用いられるため、商標権は個人事業主や中小企業の方にとって、おそらく特許権や意匠権よりも馴染み深い権利になると思います。

 

「どんな商標が登録できるか知りたい」「なにから商標登録してよいか分からない」「商標登録できるか調査してほしい」「商標をどのように利用したら良いか教えてほしい」「どの国に商標出願したらよいか分からない」といったご相談も承りますので、まずはお気軽にご連絡ください。

 

当事務所では、商標や特許、意匠の出願手続のほか、
スタートアップや中小事業者の知財トラブルを未然に防ぐ「知財の相談窓口」として、ブランディングや(商品開発段階・商品販売後の)権利侵害などの相談も承っています。

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