他の資格の「専権業務」には注意が必要!

こんにちは。兵庫県 西宮市の弁理士・倉橋です。

 

突然ですが、「専権業務」という言葉をご存じですか? 私もこの業界に入ってから知った言葉ですが、士業の方とお話する際にたま~に出てくる話題でもあり、少し前の記事で一度だけ紹介させていただきました。

参考記事:「 知的財産権とは?その種類などを簡単に紹介

 

実はこの「専権業務」、業界的にはかなり敏感な話題のようで、私が所属する日本弁理士会からも今までに注意喚起メールが何回か送られてきてますし、私もかなり気を使って注意しています。

今回はこの「専権業務」というものについての説明と、私の思うところを紹介したいと思います。

 

専権業務とは

まず、専権業務とは「資格を持った人以外がそれを行ってはいけない業務のこと」を指します。つまり、資格による独占業務とも言えます。但し、資格によって独占する業務の範囲・性質は異なります。

例えば、私たち弁理士の専権業務は「商標」「意匠」「特許」「実用新案」の知的財産権に関わる業務であり、資格のない人は有償でこれらの業務を行うことはできません。

 

一方で、有償・無償に関わらず無資格者が業務をしてはいけないものも有ります。例えば、医療行為は有償・無償に限らず医師の方しかできませんし、税に関する相談は有償・無償に限らず税理士さんにしかできません。

余談ですが、業務(生活を支えるために他者に提供する仕事・労働など)に限らず、行為そのものを独占する資格(有資格者だけが行うことができるモノ)もあります。

例えば、一番身近なもので言えば、自動車の運転免許がそうです。

 

他の資格の専権業務を侵してしまうと…

あるコミュニティサイトを見ていると、経理コンサルタントを名乗る人が「税に関する相談にのります」等と宣伝している例が散見されます。もし税理士の方なら「税理士」と表記しているでしょうから、表記無しの人は恐らく無資格者であり、税理士法違反となります。もしかしたら、独占業務であることを知らないという可能性もあると思われます。

 

しかし、他の資格の専権業務(独占業務)を行った場合、刑罰の対象になる恐れがあります。「だって知らなかったんだもん」という理由は通用しません。

士業の場合、他の資格の専権業務を侵したことが所属する会に発覚すると、所属する会から懲戒処分などを受けます。

懲戒処分の内容は、戒告や数年間の権利停止が一般的ですが、あまりにも悪質だと判断された場合は退会(廃業)させられることもあります。

 

専権業務を全く意識していない人は危険

「専権業務を無視して仕事することは、お客さんに対して無責任な行為である」と私は考えます。

 

私たち弁理士は、お客様の大切な知的財産権に関わる業務を行っています。

これらの知的財産権はしっかりと維持管理することで、とても長い期間、独占的な専有権を保持することができます。例えば、特許権は基本的に出願日から20年、商標権に至っては10年ごとに存続すれば半永久的に存続させることができます。

 

だからこそ、業務停止などや退会になって業務ができない期間を作ってしまわないように、自分が持っていない資格の専権業務を侵さないことが重要であり、日頃から注意を払う必要があるのです。それが、自分のためでもあり、お客様のためでもあります。

 

 

要約すると「専権業務を全く考えずに仕事をする士業やコンサルタントは危ない」ということ。なぜなら、訴えられて廃業してしまうかもしれないから…。 私もですが、皆さんも業務を委託する際にはご注意ください。

 

さて、次回からは意匠法について紹介していきます!

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