【お知らせ】税関における簡素化手続(侵害品対応)に特許権・意匠権などが追加されました(令和5年10月1日から)

兵庫県西宮市にある「倉橋特許商標事務所」の代表で、《商標・特許を専門とする弁理士》の倉橋和之と申します。

当ブログでは、世間一般にあまり聞き慣れないと言われる知的財産に関する知識・情報や、私の活動や考えなどを発信しています。

 

今回は、タイトルにも記載したように、令和5年10月1日から「税関における簡素化手続(侵害品対応)に特許権・意匠権等が追加された」ことについて、お知らせしたいと思います。

 

『税関における簡素化手続』とは?

・「税関における簡素化手続」を説明する前に、まず「税関での知的財産侵害品の認定手続」について簡単に説明したいと思います。

 

税関では外国から輸入される貨物を検査していることはご存じですよね?
これを税関検査と言いますが、その際に知的財産権を侵害していると思われる貨物(物品)も発見されることがあります。

この知的財産侵害物品(以下、侵害物品)に該当すると思われる貨物について、侵害物品か否かを認定するための手続が「認定手続」です(関税法第69条の12第1項)。

 

 

一般的な「認定手続」ですと、侵害物品に該当すると思われる貨物を発見した場合には「権利者」「輸入者」の双方に対して証拠や意見の提出を求めて、証拠等に基づいて侵害か否かを認定します。

しかしながら、この「認定手続」には時間もかかるだけでなく、専門家(弁理士など)に手続を依頼する費用・負担も大きくなってしまうという問題がありました。

 

これに対して、「簡素化手続」とは、輸入者が侵害か否かを争わない場合には、「権利者」「輸入者」の双方の証拠等の提出を求めることなく侵害品だと認定・輸入差止を行うというものです。なお、これまでは「簡素化手続」は一部の知的財産(商標権・著作権等)に関するものに限られていました。

 

 
 

これに対して、関税法施行令の改正により、「簡素化手続」の対象が拡大されることが決定され、
令和5年10月1日から実際に「特許権」「意匠権」「一部の営業秘密」「簡素化手続」の対象となりました。

参考:「知的財産侵害物品の取締まり 認定手続の流れ

 

 

簡素化手続の範囲が拡大されることで、何が変わるのか

『簡素化手続』に特許権・意匠権等が追加されることで変化することは、主に以下の3つになります。

・「権利者」の負担が軽減される
・侵害物品への対応が早期に終わる

・費用が安くなる

 

税関での水際対策として、特許権や意匠権なども認められるようになることで「権利者」の負担が大幅に軽減されることが期待されます。

また、「権利者」「輸入者」双方の証拠・意見などの提出を待ってから認定手続をする場合に比べて、はるかに早く決着がつくことになります。また、これらの手続に専門家を代理人として行っていた場合には、それだけ手続の回数が減るため、税関での侵害品対応に要していた費用を安価にできることが期待されます。

 

 

いかがでしたか。

模倣品などが海外からの輸入されてくるという状況の方はぜひご検討ください。

「税関での水際対策(侵害品の輸入差止)についてご質問・ご相談がある方」や「輸入差止の申し立てについてお考えの方」は、当所にご相談ください。

 

それでは!

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