氏名(名称)変更・住所変更の手続と必要性について【商標権・意匠権・特許権】
こんにちは。兵庫県 西宮市の弁理士・倉橋です。
今回は、出願人や登録権利者の「氏名(名称)変更・住所変更の手続と、その必要性」について、簡単に紹介したいと思います。
目次
氏名(名称)変更・住所変更とは
例えば、
社名変更や、結婚による改姓等で氏名に変更があった場合、引っ越しや会社の移転等で住所に変更があった場合には、氏名(名称)変更・住所変更の手続が必要となります。
氏名(名称)変更・住所変更の手続ですが、
実際には、出願中と登録後で必要な手続が異なります。
権利譲渡や会社の合併等で、別人や別企業に権利を移転した場合には、
別の手続(権利の移転手続)が必要となります。
「出願中」の氏名(名称)・住所の変更手続とは?
出願中の場合は、
出願人の「氏名(名称)変更届」や「住所(居所)変更届」を特許庁に提出する必要があります。
出願人には個別の識別番号が付与されますが、この識別番号に出願人の氏名(名称)・住所等が紐づけられています。
そのため、識別番号が付与された出願人の「氏名(名称)変更届」「住所変更届」を提出すれば、出願人の氏名や住所が変更されます。
出願中の案件が複数ある場合でも、一つの手続で完了します。
出願人の氏名(名称)変更・住所変更の手続では、
収入印紙などは必要ありませんが、弁理士事務所等に手続を依頼する場合には別途手数料が必要になります(1~2万円ほど)。
「登録後」の氏名(名称)・住所の変更手続とは?
商標権や特許権などの登録名義人の氏名(名称)・住所の変更の場合には、
「登録名義人の表示変更登録申請書」を特許庁に提出する必要があります。
なお、「表示変更登録申請書」には、基本的に収入印紙代(1,000円)が必要になります。
但し、変更理由や登録状況によって収入印紙代も変化するため、ご自身で手続される場合はご注意ください。
なお、表示変更登録申請は、権利(登録)ごとに行う必要があります。
登録状況(これまでの経緯)などによって、手続きがややこしくなる場合もあるため、面倒であれば弁理士事務所等に手続を依頼するのも一つの手段です。
但し、弁理士事務所等に手続を依頼した場合は別途手数料が必要になります(1~2万円ほど)。
名称・住所の変更手続の必要性について
では、名称・住所変更の手続をしないと、どうなるのでしょうか。
条文上は、「名称や住所に変更が生じた場合は、できるだけ早く変更手続を行いましょう」という記載になっています。
但し、変更手続をしないことによる罰則などは特に規定されておらず、すぐに不具合が生じるということはありません。
氏名(名称)変更・住所変更をしない場合に起こる可能性のある問題
氏名(名称)・住所を変更していない場合、次のような不利益が生じる場合があります。
❶ 取引の相手候補からの連絡が届かない
❷ 異議申立て・審判請求の通知書が届かない
❸ 契約をすぐに締結できない場合あり
❶ 商標権や特許権が発生された場合、原簿に登録され、その内容が公示されます。
これを見た第三者から取引の依頼・提案などの連絡が来ることがありますが、もし名称・住所が実際と違っていると、その連絡は届きません。そのため、取引機会を逃してしまう場合があります。
❷ 他人から異議申立てや審判が請求された場合、特許庁から通知があります。しかし、その通知が届かないと、気付かないうちに権利が取り消される不利益が生じる可能性があります。
また、❸ ライセンス契約などを交わす際に権利者の氏名・住所が実際と違っていると、先に変更手続を行う必要があります。そのため、すぐに契約を締結できないという問題が起こり得ます。
いかがでしたか。
上述したような不具合が起こらないよう、氏名(名称)や住所に変更が生じた場合には、できるだけ早く変更手続を行うようにしましょう。
ご自身で手続する時間がない場合や、手続が不安な場合には、お気軽にご相談ください。経験豊富な専門家(弁理士)が対応いたします。
当事務所では、商標や特許、意匠の権利取得手続のほか、
スタートアップや中小事業者の知財トラブルを未然に防ぐ「知財の相談窓口」として、ライセンス契約やブランディング、(商品開発段階・商品販売後の)権利侵害などの相談も承っています。